理学療法士×プロ格闘家が考える「格闘技と正しい水分補給」

「運動中や前後はしっかりと水分を摂取すべき」

「水を飲まないと熱中症になる」

子供のころに言われたことは無いですか?

自分が現役選手として総合格闘技に取り組んでいるときにも

水分補給の重要性は感じていました。

運動時の水分補給について考えていきたいと思います。

水分不足では格闘技は強くなれない!

年齢や性別によって差があるものの

人間の身体の60%前後が水分です。

つまり、体重が70キロの男性であれば

40キロ以上が水分ということになります。

このうち

2%の水分が失われると運動時のパフォーマンスが低下し始め

5%程度の脱水で「疲労感」「頭痛」「めまい」などの症状が現れることになります。

10%以上の脱水では死に至ることも

つまり、この男性では「1キロ」程度の脱水でも

ベストなトレーニングは行えないということになります。

格闘技ジムでの水分補給の注意点

水といっても「ただ飲めばよい」ということではありません。

特に発汗量が多い格闘技では

生命活動に必要なミネラルも水分と共に失われてしまいます。

発汗時に失われやすいのがナトリウム

ナトリウムは水分を身体にとどめておく働きがあり

ナトリウムが失われている状態で水分をとっても

上手く体内に吸収することができません。

水分と一緒に塩分を適切にとっておくことが非常に大切です。

格闘技と正しい塩分摂取

塩分というと、高血圧の原因にもなり

どちらかというと「摂取を控えるべき」という印象もあるかと思います。

実際にはその通り

現代人の食生活の中で塩分が不足するということはほとんどありません。

むしろ、「過剰になっている」ことがほとんどです。

つまり

塩分を意識的にとるのは格闘技の練習時間のみで

その他の時間帯は、塩分摂取はなるべく控えることが大切です。

「練習中にどれくらい塩分を摂ればよいのか?」ということですが

水1Lに塩(塩化ナトリウム)を1g程度が適量

格闘技の練習中には、これを望野渇きを感じる前にこまめにとることが大切です。

格闘技の練習前からこまめな水分補給を

水分補給は格闘技の練習前から意識して行うべきです。

「キックボクシング」「ブラジリアン柔術」「総合格闘技」などの練習では

非常に多くの発汗が予想されます。

これに備えて、練習時間の30分前までには

「250~500ml」の水分をとっておくようにします。

あらかじめ余裕をもって準備をしておく、この心掛けが脱水を防ぐためにとても重要です。

練習中の水分摂取法

今度は練習中の水分摂取の目安についてです。

やはりポイントは「こまめに」水分を摂取すること

目安としては15~20分おき

100ml~200mlの水分を摂ること

気温の高い場合や、発汗量が多い場合には

一時間に1000mlを目安にします。

格闘技の練習中はまさにこれですね。

飲料水の温度にもこだわりを

「水の温度」というと何となく「常温が良い」

というイメージもあるかと思います。

ですが

冷水の方が素早く身体に吸収されるという性質を持っています。

運動時や脱水気味で急いで水分を摂りたい場合には

5℃~15℃の適度に冷えた水を飲むのが最適です。

夏場には体温を下げる役割りもあり、一石二鳥です。

格闘技とスポーツドリンク

「スポーツドリンクは糖質が多いから飲みたくない」

という方も多いかと思います。

しかし

適度な糖質は小腸からの水分の吸収をスムーズにしてくれます。

運動時のエネルギー源として利用されるため

発汗が多い場合や運動時間が長い場合には、非常に効果を発揮します。

キックボクシングを始めとした格闘技にはスポーツドリンクを活用することもおすすめです。

ダイエットが目的で、汗をかくことが少ないウェイトトレーニングなどでは

真水に少量の塩を入れるだけで問題ありません。

格闘技時の水分補給「まとめ」

今回は格闘技の練習をする際の水分補給法について考えてみました。

ピアレスウルフは

「キックボクシング」

「総合格闘技」

「ブラジリアン柔術」の三種類の格闘技を楽しんで頂ける格闘技ジムです。

これらに共通するのは発汗量が多いということ

そして運動時間が比較的長い(継続的な1時間程度の運動)ということです。

この二つの特徴を踏まえ

運動時の水分補給における塩分摂取の重要性を理解し

水の温度糖質摂取についても

チェックしてみてください。

今回の記事やジムへのご質問、ご相談については公式lineからも受け付けています。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

阪本洋平(ピアレスウルフ代表)

理学療法士

総合格闘家/初代GRACHANライト級チャンピオン/第二代GRACHANフェザー級チャンピオン

パーソナルトレーナー

琉球大学理学部海洋自然科学科生物系卒業。琉球大学在学時代から総合格闘技のプロ選手として活動を開始。

その後自らの怪我や痛みの原因を知るため、茨城県立医療大学保健医療学部理学療法学科に入学。在学中も選手としての活動を継続する。

卒業後は理学療法士として茨城県内の総合病院に勤務する傍ら、初代GRACHANライト級チャンピオン(2016年)第2代GRACHANフェザー級チャンピオン(2017年)を獲得。

2023年4月、つくば市松代にキックボクシング・ブラジリアン柔術・総合2023年4月、つくば市松代にキックボクシング・ブラジリアン柔術・総合格闘技ジム「ピアレスウルフ」パーソナルトレーニングジム「ピアレスウルフパーソナル」をオープン

阪本典子(スペシャルアドバイザー)

・医学博士

・大阪市立大学 医学研究科解剖学 博士課程修了

・九州栄養福祉大学 名誉教授

・九州栄養福祉大学 食物栄養学部 食物栄養学科 教授

・近畿大学医学部 学内講師

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